eriko's diary
2020.12.11 Fri

“E.とつくり手 エイトペダルができるまで” 工場代表・田口が語るストーリー

1年以上の時間をかけて登場したE.の新しい生地「8ペダル」。その開発にゼロから携わった、インド工場代表の田口(たぐち)が語る「E.のつくり手ものがたり」をお届けします

<語り手プロフィール>

田口ちひろ
インド・コルカタ工場代表。入谷店(旧本店)・新宿店販売スタッフを経て、2010年にバングラデシュ、2011年にネパールにカントリーマネジャーとして赴任。2018年にインドへと渡り、自社工場を立ち上げ、主にE.の素材・アパレルアイテムの開発を行っている。

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――田口さん、E.の新しい生地「8ペダル」の魅力をより深く知っていただけたらと思い、今回インタビューの機会をいただきました。まさしく「つくり手」である田口さんのお話を、ぜひお聞かせください!

長い時間をかけてつくった生地なので、よりたくさんの方に魅力を知っていただけたらうれしいです! よろしくお願いします。

――よろしくお願いします! さっそくですが、8ペダルをつくったきっかけは何だったのでしょうか?

はい、じつはE.ができた頃から、「カディ」(手紡ぎ・手織りのコットン生地)以外の生地がほしいと思っていたんです。

――ブランドの創設時ということは、2019年の夏ごろ。1年以上前ですね。

そうなんです。秋冬のお洋服を考えたとき、カディの0番手生地(1番糸が太い生地)だけでは寒いだろうと…。新しいブランドの可能性を広げるためにも、秋冬用にウールをつかった生地が必要だと考えていました。

――なるほど。早くからよりあたたかい生地を探していたんですね。

はい。そう考えたときに、以前やりとりがあったラビさんの顔が浮かんだんです。ラビさんとは2011年にマザーハウスでアパレルアイテムをつくったときに出会っていて。ウールを手織りでつくっている職人です。そのときの真面目で真摯な姿勢がとても印象的でした。

――信頼のおける方なんですね。

はい、技術や素材を持っているだけではなく、一緒にモノづくりをしたいと思えるかがすごく大事で。ラビさんとなら、私たちの新しい生地を一緒につくってくれると思いました。
どんな生地がよいか考えていたときに頭に浮かんだのが、以前からラビさんがつくっていた「スペース染め」(1本の糸を複数色で染める方法)と「手織りウール」の技術。個性のある色合いと、手織りのふんわりとした風合いを活かして洋服につかえる生地を、と考えたんです。

――それが8ペダルだったというわけですね! 職人の技術から生まれたオリジナルの生地。

そうなんです! ヘリンボーンだったり、平織りだったり、いろいろな織りかたを試してみたんですけど、なかなか決まらず。ようやくできた生地でした。

――はじめて8ペダルの生地をみたとき、どう感じましたか?

もう1年以上前なので、正直あんまり覚えてないんですけど、見た瞬間テンションがあがったことは記憶しています(笑)。8ペダルを織る職人さんはラビさんとつながりのあった方で。その方しか8ペダルをつくることはできないんです。そして1時間に織れるのは約50cm。通常の平織りの生地は約1m織れることを思うと、本当に手間がかかっています。

――なんて貴重な…。

じつは8ペダルを織るときには、その職人さんにラビさんの家に泊まってもらっているんです。糸の染色~撚りはラビさんの家族が、織りを職人さんが担当をして、すべての工程をひとつの家で行っています。究極の家内工業なんです(笑)

――アットホームな生地ですね(笑)。 8ペダルは染色にもかなり特徴がありますよね。織る前に糸を染め、しかも1束を4色で染めているという! 色を選ぶ苦労もあったのではないですか?

そうですね…。最終的には4つのバリエーションに落ち着きましたが、3回くらいトライをしたのかな。織ってみないと分からないので、そこはイメージするのに苦労しました。

――色のバリエーションは最初から決めていましたか?

いえ、もともと2020年秋冬コレクションでブルーグリーンやレッドブラウンの商品があることが分かっていたので、それに合うような色。あとはアウターに使いたいと思っていたので、お客さまが使いやすい落ち着いた色をイメージしました。
最初はブルーやネイビーなど濃い色をつくっていましたが、淡い色もあった方がコーディネートの幅も広がると思い、後からホワイトとベージュをつくりました。

――渾身のバリエーションですね。8ペダルを初めて見たときの、カッティングや縫製の職人たち(インド工場スタッフ)の反応はいかがでしたか?

「チャレンジするぞ!」という前向きな反応でした。その他の新しい生地でもそうですが、手仕事を追求する姿勢を大事にしようという意識を、普段からみんなで持つようにしています。

――8ペダルだと、とくに手間がかかりそうですが…。

はい、とても柔らかい生地なので、縫製にいつも以上に時間がかかったり、芯地(内側から表地を支え、布に張りを持たせたり、型くずれを防いだりするもの)をつける箇所が多くなったり。でも面倒くさいことにチャレンジしたいと思うんです。

――技術を追求する姿勢から、インドの新しい可能性が生まれているんですね。

はい、そう思います。8ペダルは、一つの家でつくられているからこそ、ロックダウンがかかってもつくり続けることができました。コロナ禍において新しい商品を出せたことは、本当に大きな意味があったと感じています。
それと一般的にオリジナルの生地をつくろうと思うと、最小で1,000mは発注しなければならないんです。でも私たちは30mからつくることができるので、より試行錯誤しやすい。新しい生地をつくり続ける可能性も、広げることができました。

――たくさんのチャレンジが詰まった8ペダル。手に取ったお客さまに何を感じていただきたいですか?

先日、日本でお客さまに直接8ペダルのアイテムをご案内したのですが、試着していただき「軽い!」とおしゃってくださったのが、とてもうれしかったです。手織りのウールは、空気をふくんでいて、とてもふんわりして軽いんです。それを体感していただけたことがうれしくて。
お客さまには、とにかくこの生地を楽しんでいただきたいです。手織りなのでへたりにくいのも特徴です。長くつかっていただいて、ゆくゆくは次の世代に引き継がれるような…そんなお洋服になれたらと思っています。

――末長くお客さまのそばにあるお洋服になれたら嬉しいですね。きっとそうなると信じています! 田口さん、貴重なモノづくりのお話、ありがとうございました。

はい、ありがとうございました! 日本のみなさま、またお会いしましょう!

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▼8ペダルのアイテムを含む2020年のWinter collectioinはこちらから

▼Exhibition 12/4(金)~12/31(木) 
「E.とつくり手 8ペダルができるまで」
この冬のあたらしい生地”8(エイト)ペダル”の
生地づくりから洋服になるまでのモノづくりの向こう側をご紹介します。
@E.大丸京都店・店内
京都府京都市下京区四条通高倉西入立売西町79番地 3F
TEL:075-585-5784
OPEN:10:00-20:00

Illustration … Kazuhiko Okushita

  • Eriko Yamaguchi
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