eriko's diary
2021.03.19 Fri

Story of our clothes file.1 カディとの出会い

こんにちは、インドのコルカタにある自社工場の代表・田口です。この春から、マザーハウスのお店でもカディのお洋服の取り扱いが広がることになり、より多くのお客様にお洋服を手に取っていただく機会が増えることに、工場のスタッフ一同、本当に嬉しく、ワクワクしています。

あらためてカディの深い魅力をお伝えできればと思い、そもそもカディとはどんな素材か、またマザーハウスとカディとの出会いをお伝えしたいと思います!

1.“Fabric of freedom”と呼ばれるカディ
カディ(Khadi)は、インドを代表する手紡ぎ・手織りのコットン生地です。じつは紀元前から存在し、インドの文化に古くから結びついてきました。
それが18世紀の産業革命のころ、イギリスがインドから綿花を安く買い取り、機械製の綿織物を大量生産し始めたことで、カディをつくるインドの人たちの生活基盤が揺らいでしまいました。そこで立ち上がったのが、インド独立の父といわれる、マハトマ・ガンディーです。

彼は、自国内の産業の重要性を訴え、「自分たちで着る服は自分たちでつくろう。カディをつくり、身にまとおう。カディこそが、イギリス植民地からの独立の象徴なんだ。」と伝え続けました。それによりカディは、「Fabric of Freedom(自由を勝ち取った布)」と呼ばれるようになったのです。カディは今もインドの人たちにとって非常に大事な存在で、インドの国旗の中心には、糸を紡ぐ道具である糸車が描かれています。

そんな歴史的にも意味の深いカディ。とくに原料となるインドの綿は、通常の綿よりも細くしなやかな糸になり、なめらかな肌触りを生みだす、という特徴があります。それを手仕事で糸にするため、太さが不均一で表面には凸凹した表情が生まれます。手織り機でふんわりと織られるため、空気を含んだ生地になります。

2.カディがお洋服になるまで
私たちがつくるお洋服は、原材料の綿花の生産~お洋服づくりに至るまで、すべてインド国内で行っています。
原料となる綿花は、南インドのポラチのオーガニックコットン農家さんが育てたもの。収穫された綿花は、現地の工場で働く女性たちの手によって、丁寧に仕分けられます。


そうして繊維を引きそろえた状態になった綿花は、西ベンガル州のムルシダバードという地域の村々に運ばれていきます。そこには先祖代々、農業を行いながらカディの糸を紡ぎ、生地を織ってきた人たちが、それぞれの村にたくさん暮らしています。

村の中では、お母さんが糸を紡ぎ、力仕事である織りの作業はお父さんが行い、息子がそれを手伝う、という家族の風景が至る所で見られます。村の中では、カッタンカッタンという手織り機の音が聞こえてきます。

織られた生地は、コルカタ市内に届けられます。手織りであるため、糸の太さや織りの密度のばらつきが基準内か、糸の切れや汚れの混入などがないかを、ひとつずつ職人たちが検品します。厳しい検査の目を合格した生地が、インド工場に届けられ、裁断されてお洋服に縫製されていくのです。

実際に私自身も、南インドのコットン畑や、ムルシダバードの織りの村を何度か訪問しました。すべての工程が手仕事で行われている現場を目の当たりにすると、どれだけの人たちの手がカディの生地1枚にかかわっているのだろう…と、気が遠くなります。そしてそれと同時に、この工程ひとつずつが、ガンディの精神が現在もインド国内の何万世帯の家族に受け継がれていることを証明しているのだと、改めて「Fabric of freedom」の意思を感じました。

3.マザーハウスとカディの出会い~インド工場のはじまり~
最後に、あらためてマザーハウスとカディとの出会い、そしてインド工場の成り立ち秘話をお伝えしたいと思います。

はじまりは2017年の秋でした。インドのコルカタで何かモノづくりができないか、と日夜素材を探している中、都内の小さなビルの一室で、インドのカディの展示会が行われました。

たまたまその時日本に滞在していた、代表兼デザイナーの山口がその展覧会を訪れた際、現在の現地パートナー・アシシュさんと出会ったのです。そこでカディに強い可能性を感じ、その出会いから数週間後には、私もネパールから合流し、副社長の山崎と3人でコルカタに出張に行くことになりました。

さまざまな工房を訪ねつづけ、ついに滞在最終日。山口がアシシュさんに、当時物置きと化していた部屋を指さして「ここでモノづくりをはじめたいです」と話したのです!それがインド工場のはじまりでした。

あらためて、“なぜ私たちはインドのカディを選んだのか”を考えると、それは「途上国に存在する素材や技術に光をあてる」というマザーハウスの哲学にぴったりと当てはまっていたからだと思います。「Fabric of Freedom」という哲学をまとった素材であることを知り、ぜひこの素材で、「身に着ける人がその人らしく輝けるように」そんな思いを込めたお洋服をつくりたいと、インド工場を始動させました。


翌年の2018年3月には「自由をまとう服」として、初めてカディシャツがマザーハウスから登場することになりました。ただ初めてのお洋服づくりは、生産・検品・日本での受け取りや販売準備と、あまりにもバタバタしていて正直、当時の記憶がほぼ残っていないくらいたくさんの困難を超えていかなければなりませんでした。

それでもインドのみんなと一歩一歩前に進み続け、その後、1年かけてスカートやジャケットなどのアイテムもつくれるようになり、アパレルブランドE.(イードット)が立ち上がります。3名のスタッフから始まったインド工場は、現在、35名のスタッフが元気に働いています。

カディは、機械でなく人の手を介して生まれているだけあって、生地ひとつひとつ、表情が異なり、とても個性がある素材です。日本の繊維の技術者の方に私たちのカディのお洋服を見ていただいたとき、「生地が笑っているねえ」と仰っていただいたことが、今でもとても心に残っています。

カディのお洋服を着ることで、肩の力を抜いて心地の良い日々をお過ごしいただけたら、嬉しいです。インド工場のみんなと、これからも私たちらしい生地づくり、お洋服づくりを目指していきますので、ぜひ今後のラインナップもお楽しみにしていてください!

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  • Eriko Yamaguchi
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