eriko's diary
2019.08.17 Sat

藤森先生とのお店づくり〜vol.2〜

前回のブログ 「藤森先生とのお店づくり〜vol.1〜」

数日後、満面の笑みで西本くんが近づいてきた。
「藤森先生に会えます!!!!!」

「は??」

「藤森先生にメールしてみたんです!先生は今、建築事務所がなくって。探して探して・・・。
それで江戸東京博物館の館長をいまやられていることが分かって、
そこに連絡してみたんです。面会できませんかって。」

「へ??面会?なにを、どうしよう!!何を話すの?」

「え、やっぱり、お店、できたらいいかなって!!!」

笑顔の西本くんはやる気満々に日程調整を進めてくれた。
私は半ば呆気にとられながら西本くんと共に、江戸東京博物館館長室に向かうことになった。

……………………

2月1日。

江戸東京博物館館の館長室のドアをあけると、
本当に物腰の柔らかい感じで、革のソファに微笑みながら座っていらっしゃる、あの藤森先生がいた。

「どうもどうもー。」
「今日は本当に貴重なお時間ありがとうございます。」

藤森先生がニコニコしながら座ることを勧めてくれた。
自己紹介をさせていただいた。
「本来、アパレルとか、ファッションのお店は先生はやっていらっしゃらないし、
まして物件も小さいし、私たちみたいな、、」と言い始めると、

「いやあねえ、僕は自分が好きなものしか仕事しませんからね。
まあ、物件のサイズはあんまり関係ないですよ。やりましょうか。」

「え!!!!!」

お会いして、ほんの数分で、神様、藤森様が微笑んだ。

「あの、その、正直なことをいうと、額のイメージが、ゼロが違う可能性もあるかな、、と」
メールを送ってくれた西本くんがそういうと、
「いやあ、それはなんとかなるでしょう。あははは!!」

豪快に笑う藤森先生につられて、私たちも、なんだか変な汗とともに、とりあえず笑っていた。

……………………

そんな出会いから、1ヶ月後。
本当に藤森先生が、改装をお願いしている「ファブリックマザーハウス本店」を見に来てくれた。

「このお店は、自分たちで一応頑張って作ったんです。」

「まあ、安くがんばったねぇ!!わっはっは!」

「はは、、、、」苦笑する私たち。
そして、(あんまり細部を見ないでくれ!!!)と願う私たち。

でも、次の藤森先生の言葉に、私もおそらくその場にいたスタッフみんなも
とても感動し、そして安心した。

「でもね、やっぱりわかりますよ。ちゃんと商品が映えるように作られている。
商品が主役じゃなくっちゃね。」

先生は、ざっと店内を見て、配管の構造だったり、消化器の位置、床の高さなどを確認した。
そんな先生の様子を後ろから見ているだけで、なんだか夢の中にいるみたいだった。

「そしたら、デザインを近いうちにあげますね。」

先生が帰った後、ひたすら思った。
(本当なのか・・・。これは現実なのだろうか・・・。額が心配すぎる・・・。
一体何が出来上がってくるのか・・・。モノは売れるのだろうか・・・。)

嬉しさというか、正直にいうと不安なポイントをあげたらきりがなかった。
でも、今は先生にボールがある。

私たちはとにかく、デザインがあがる日を待つことにした。

……………………

5月2日。

ゴールデンウィークのまっただ中に、先生がデザインをもって、秋葉原に再びやってきた。

「こんな感じを考えていてね。」

小さな紙に、先生の鉛筆の手書き。そこには大きな船のようなものがあり、洞窟みたいなお堀があった。

(なんだろ、、あれ。。。)

あまりにもラフで、小学生が書いたみたいなスケッチに、最初キョトンとなってしまった。

先生は、「白い空間にね、栗の木と、黒い鉄だけの空間に、
服が映えるようにしたらいいと思うんですよね。」と言った。

船のような物体は、大きなテーブルだった。
なんと先生は、その木を長野のご自宅の奥にある森から、伐採するらしい。

「‥‥ そこからはじめるんですか???」

「先生のご自宅の森にいくと、よく木に印がついているんですよね。
テーブルに使うとか、次の建物用だとか、そういうことなんでしょうね。」

先生と長年一緒にやっている設計士の土井さんが教えてくれた。

(素材から、、、、)
私たちの服作りと共通する部分に、私は静かに感動した。

「先生が実際に木を削りだすとき、見せていただけませんか?」
再び西本くんの鉄砲発言。

なんと、例の船形のテーブルを作るとき、工房にお邪魔させていただけることになったのだ。

この日の藤森先生からのデザイン発表について、全体的に思ったことは、
先生は非常に私たちのことを理解してくれているというポイント。

そして、店内のデザインにおいては、強弱がとてもはっきりとしているように思えた。

この二つは、メインの什器である巨大なテーブルは、しっかりお金をかけて4メートルもの
栗の木を贅沢につかい象徴的なものを作る。

しかし、それ以外の什器や壁については、
「あるものを少し加工して使いましょう。みなさんが作ってくれたテーブルたちの上に、
私たちの職人が手で削り込んだ栗の天台を載せましょう。そうしたら一体感も生まれて、
作ったものも無駄にはならない。もちろん最終的には金額も大事だから、
そこにもプラスになると思いますよ。」

私たちのたくさんの事情を全部理解してくれているようなその言葉に、
改めて藤森さんにお願いしてよかった、、とこの時点で強く思ったのだった。

……………………

<次回のブログは、8月19日更新予定です。>

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